多くの場合、介護は突然始まります。
そしていざ始まったら、待ったなし。次々と様々な決断・対応を迫られます。
だからこそ、事前に介護になったときのことを考え、備えることが大切なのです。
<目次>
転倒で骨折、脳卒中で麻痺、そして認知症…介護は突然始まる
まだみなさんの親御さんがご自身で生活できているのなら、想像がつかないかもしれません。
でも、高齢になると、ある日突然、介護が必要な状態になることが多いのです。
たとえば、庭石につまづいて転んだら、打ちどころが悪くて足首を骨折。
これだけでも、買い物には行けない、お風呂にもうまく入れない状態になります。
もっと打ちどころが悪くて大腿骨を骨折したら、入院が必要にもなり、その後の歩行も今までどおりにいかなくなることが多いようです。
脳卒中などで倒れ、意識不明で救急病院に担ぎ込まれ、目が覚めたときには半身麻痺の状態になった、と言う人もたくさんいます。
あるいは、親御さんのご近所から「ガスコンロで鍋を焦がしてボヤ寸前でした」「外を歩いていたら道に迷い、警察に保護されました」などという連絡が入ることもあります。
子ども世代は気づいていなかったけれど、親御さんには認知症の症状が少しずつ進行していて、こうした行動で近所の人に発見された、という可能性は濃厚です。
昨日まで「親のことは、たまに考えればいい」、くらいに思っていても、こうなると有無を言わせず飛んでいかなくてはなりません。
すっかり変わってしまった親御さんを前に、絶句。仕事はどうする? 家事は? 子育てを中断するわけにはいかない……。
介護の知識も経験もなければ、さらに途方にくれます。
ですから、まだ親御さんが元気でも、介護の入り口の知識だけはつけておきましょう。いざというときに、とことん困るのを防げます。
地域包括支援センターや役所窓口の確認をして駆けつける
まず、介護が必要になったら、仕事や育児の都合をつけ、できるだけ早く親御さんのもとに駆け付けましょう。
そして、本人や周囲の方たちに、事情を詳しく聞きます。
救急病院に入院したのなら、看護師さんなどに状況を聞くことになります。
まずは短期間の訪問とし、事情の正確な把握に努めましょう。
そのときに、あらかじめ、その地域の「地域包括支援センター」の連絡先や、役所の高齢者担当の窓口の電話番号などを調べてから訪ねましょう。
どちらも介護が必要になったら、コンタクトが必要になります。
両方とも週末や夜間などは連絡がつかないので、できれば親御さんのもとに出かけるのは平日がベターです。
地域包括支援センターには、あらかじめ連絡をして、訪問期間中に出向いて相談ができればベストです。そうすると、その後の対処が非常にスピーディに進みます。
地域包括支援センターは、地域ごとに設けられた「高齢者福祉のワンストップ相談所」のようなもの。
介護・福祉・健康・医療など、様々な面から支援を行います。
カイゴの「カ」の字もわからない家族にも、わかりやすく今後のアドバイスをしてくれ、地域の介護保険サービスや介護保険外のボランティアやNPOなどのサービスも教えてくれるでしょう。
けれど、介護保険サービスを使おうと思うなら、「要介護認定」をして、認められなければ使えません。
これも、地域包括支援センターで親御さんの心身の状況を話してみて、申請の仕方などを教えてもらいましょう。
離れた地域からでも、電話である程度話を聞くことはできます。
要介護認定の申請書を出すなら早めに
要介護認定の申請書は、住まいのある市町村の役所の担当窓口に申請します。
申請書については、本人や家族が行うほか、地域包括支援センターや、近い将来使うことになる介護保険サービスのプランを立てる、ケアマネジャーに代行してもらうことができます。
この申請が認められれば、介護保険サービスを利用することができます。
結果は、申請書を出してから1か月程度かかることが多いですが、認定されたら、申請書を出した日にさかのぼって介護保険サービスの利用が可能になります。
そうした理由で、地域包括支援センターには早めにコンタクトをとったほうがいいのです。仕事の都合などで親御さんのもとに駆け付けるのが週末に限られてしまうのなら、電話番号などを調べて、あとで連絡するといいでしょう。
病院に入院したら、病院の相談員と話をしよう
親御さんがケガや病気で入院し、今後は今まで通りの暮らしができそうもない、となったら、病院の相談員(専門の看護師の場合もある)と連絡を取りましょう。
病院に駆け付けたときに、昼間であれば、まず窓口に行ってみることをお勧めします。
親御さんの状況によっては、病院のほうから専門の相談窓口を案内され、そこで相談するように言われることもあるでしょう。
病院の相談員の窓口では、退院後の患者さんの生活支援をしてくれます。患者さんが今後一人で暮らすが大変となれば、介護のサービスにつないで家での生活のサポートのきっかけを作ってくれたりします。
まだ継続してリハビリをする必要があれば、リハビリ病院につないでくれることもあります。
退院して自宅に戻っても家族が介護することができず、自宅暮らしは難しいということになれば、介護施設などへの入居のヒントもくれるでしょう。
最近は、病院の入院期間がどんどん短くなり、かなり重い病気やケガでも、2週間以内の退院が多くなりました。
入院したとたんに退院の話になり、気持ちの整理もつかず、退院後の生活状況も整わないまま退院の日を迎えることも多いのが現状です。
仕事や家庭の事情はあるでしょうけれど、親御さんの退院後の暮らしを決めるために、ある程度の時間を割く必要はあるでしょう。
会社員は介護休業法による休暇も。周囲の方からの情報も頼りにして
退院後、介護保険サービスを利用して訪問介護やデイサービスなどを使う、あるいは介護施設に入所するなどなると、生活が大きく変わります。
本人もそれについていくのは大変ですが、子ども世代もやることがたくさんあって大変です。
介護保険サービスを使うとなると、どの事業所とも長い確認時間の上、契約書にサインするという過程を経なければならず、親御さんの状況把握や今後の方針などを打ち立てるにも時間がかかります。
仕事を持っている方は、仕事を休むことに躊躇があると思いますが、社会的には介護のために仕事を休むことはきちんと認められ、介護休業法なども整えられています。
会社の就業規則などをよく見てみましょう。
もし規約になくても、ご自身が対象の労働者と認められれば、法に基づいて有休をとれる場合は多いです。
詳しくは以下の資料を参考にしてください。
介護の状況はひとりひとり違うので、対処も判断も難しい面があり、悩みも多いかもしれません。でも、一人で悩んでいないで、周囲の方たちに公表することをおすすめします。
会社の同僚や上司、近所の方などにも、介護の経験者はたくさんいます。
これまでそんな話をしてこなかった場合も、話してみれば、「私もこうだった、大変だったけれど、こんなふうに対処した」と具体的なヒントをくれる方も多いでしょう。
また、何も言わずに黙っていた上司が、「うちの母の介護も大変なんだよ。君も体を壊さないで」と優しい言葉をかけてくれることもあります。
会社には迷惑をかけられない、という思いはあると思いますが、介護や育児に時間を取られるのは、市民としてはあたりまえのこと。企業もそうした個人的な事由を理解した上で雇用するのが当然の社会となりました。
ひとりで抱え込まず、周囲や制度に助けてもらいながら、介護に取り組んでください。
介護が気になったら活用したい便利なサービス
「介護」が身近にせまってきたとしても、多くの高齢の方は
「今までの暮らしを変えたくない。家族に迷惑をかけず自分も気を使わず、なるべく自宅で生活したい」と考えています。
できるだけ長く親の思いを叶えられるよう、高齢者を支える便利なサービスを活用してみてください。
そして同時に、介護が必要になった時の準備のために、少しづつ情報収集をはじめてみましょう。
<老人ホーム情報>
もし介護が必要になったらどこで暮らす?
同居か介護施設か……誰もが悩むポイントです。
ですが、選択肢の一つとなる「老人ホームや介護施設」について、どんな場所なのか、いくらかかるのかなど、詳しく知っている方は少ないでしょう。
時間や気持ちの余裕があるうちに、地域にどんな施設があるのかや費用の相場観をつかんでおくと、いざ判断が必要になった時、あせらずに賢い選択ができます。
今の暮らしをいつまで続けられるか冷静に判断するためにも、老人ホーム検索サイトなどで早めに情報収集をしておくといいですね。
みんなの介護 (株式会社クーリエ)
初めて介護施設を検討する方におすすめ 老人ホーム検索サイト
テレビCMでおなじみ、日本全国の老人ホームを掲載している検索サイト。
2024年5月時点で掲載施設数は58,000件と業界No.1。
2011年以来15年近くの運営実績があり、200万件以上の入居相談を行っています。
サイト上では、もちろん費用は一切発生せず、希望に合った施設を探すことができます。
「老人ホームの費用」や「地域ごとの金額相場」、「ホームの選び方」など役立つコンテンツが豊富。
サイトで情報を収集するだけでなく、情報を1冊にまとめた「老人ホームの選び方入門ガイド」が無料でもらえます。
メールか郵送か、好きな方法で送ってもらえるので、ご家族に見せて説明するときも便利ですね。
各老人ホームの紹介では「360度 VR施設見学」があり、施設内を歩いて見学しているように設備や雰囲気を動画で確認。
実際に施設を見学した方の★評価や、クチコミも参考になるはず。
初めて介護施設を検討しよう、という方におすすめのわかりやすいサイトです。
<見守りサービス>
見守りサービスは、離れた場所から様子を見守り、何かあればすぐに対処できるようにするサービス。
長時間動きがない場合に異常として検知しメールで通知したり、カメラを設置してリアルタイムで映像を写したり。
実際に人が駆け付けてくれるサービスもあります。
また、スマートフォンも便利な見守りツールの一つです。
セコム・ホームセキュリティ 親の見守りプラン (セコム株式会社)
24時間365日 安心の見守り体制
ホームセキュリティと聞くと、泥棒などの防犯イメージが強いかもしれません。
セコムの場合、高齢家族にうれしい「親の見守りプラン」があります。
人の動きを感知し、スマホの見守りアプリに活動状況をお知らせ。離れて暮らしていても、今在宅か外出中か、いつ起きて寝ているかなど、生活リズムや活動量がだいたいわかります。
部屋の温度や湿度のチェックも可能。
カメラを設置するのではなく、だいたいの動きを確認するというゆるやかな見守り。親の方も、監視されるような抵抗感は少ないはず。
トイレなど必ず通る場所にセンサーを設置すれば、一定時間動きがないときに異常信号を送信。
急病で倒れ、起き上がれないようなときも素早く気づけます。
火の消し忘れも火災感知機能で異常信号を送信。必要に応じ119番通報もしてくれます。
「異常はないけどなんだか気になる、でも直接様子を見に行けない…」そんな時は、セコムに代わりに訪問して確認してもらうことも可能です。
<親の見守りプラン 利用料>
・機器レンタルの場合 月額5,060円(消費税込)
・機器買取の場合 月額3,410円(消費税込)
*レンタルは、別途初期費用として工事料や保証金が発生。機器買取の場合は初期費用として買取システム料金が発生(工事費用込)。どちらも設置する機器の個数・建物構造・設置状況などによって料金は異なります。
*料金は2024年7月12日時点
中古スマホ・タブレット (伊藤忠グループ 株式会社Belong にこすま)
万能ツールのスマホをお手頃に入手できる 伊藤忠グループの中古スマホ専門店
いつでも通話やメールができるスマートフォン。
家族間のコミュニケーションはもちろんですが、GPSアプリを入れておけば、万が一何かあった時にも居場所が確認ができ、便利な見守りツールでもあります。
中古スマホは「安いけれどリスクがある」というイメージがあるかもしれません。
そんな不安を払拭する「にこスマ」。伊藤忠グループ運営の、今、メディアでも話題の中古スマホ専門店です。
SIMロックなしの厳格な検査に合格した端末のみを販売。
端末一つ一つを360度から撮影しWEB上に掲載しているので、購入前に傷の有無も詳細に確認し、ネットでそのまま購入できます。
<料金>
・写真のiPhoneX (64GB) 25,800円 (消費税込・送料込)
*iphoneシリーズは6sから15Pro Maxまで在庫有り。料金は8,500円~213,800円
*料金は2024年9月9日時点
<毎日の食事を支援するサービス>
食生活は、健康寿命に直結します。食事を抜いたり、バランスが著しく偏っているなら要注意。
高齢になると、高血圧や糖尿病、腎臓病などの持病を抱え、薬を服用する方も増えます。
バランスのよい食事は若い頃以上に重要となりますが、塩分やカロリーを計算しての調理や食事は大変。
そんな時におすすめなのは、持病の内容に対応したお弁当の宅配。
面倒な計算や調整を意識しなくとも、健康的にしっかり食事がとれます。
健康うちごはん (メディカルフードサービス株式会社)
ヘルシー弁当、高血圧・糖尿病の方向けなど、充実ラインナップの宅配弁当
医療介護食専門メーカーが作るヘルシーな宅配食。
管理栄養士が栄養計算し、自社工場で生産。
冷凍庫で保存できるので、食べたいときにレンジで温めればOK。手軽で助かります。
バランスのとれた健康弁当のほかに、糖尿病・腎臓病・心臓病や、高血圧・肥満など、体の状態にあわせたコースが多数用意されています。
<料金例>
・バランス健康食お試しセット(6食セット)
6食で4,881円(消費税込)
*料金は2024年6月10日時点
母親・父親の介護予防にプレゼントやメッセージを
親が長く元気に暮らせて健康寿命が延びると、家族が介護をする期間も減ります。
そのためには、楽しみや張り合いのある生活が重要です。
親にとって、子供や孫とのコミュニケーションは大きな楽しみ。
単調になりがちな日々の刺激にもなります。
誕生日や、母の日・父の日にプレゼントを贈ったり、日頃の感謝をまめに言葉にして伝えることは、介護予防の観点からもおすすめです。
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