
親の介護が間近だと感じる頃になると、実家の資産のことが気になります。
介護サービスを使うのにかかるお金は捻出できるのか、 フタを開けてみたら、貯金がほぼゼロだったらどうしよう……。
聞きにくいからと放っておいた資産のこと、そろそろ把握しておきたいですね。
<目次>
いざというときに使いたいお金が引き出せないのは困る
親が重い病気になって意識がなくなる、認知症になって銀行口座の暗証番号がわからなくなる……。
こんなときはただでさえ精神的につらい状態です。
その中でお金の工面もしなければなりませんが、いざお金を下ろそうと思っても、暗証番号がわからないし、どの銀行に一番多くのお金があるのかもわからない。
これは一大事です。
生活費や入院費などを支払おうと思っても、これでは支払えず、子ども世代が立て替えることになります。
が、いつまでも立て替えているわけにはいきません。
もっと大変なのは、親が亡くなったときです。
亡くなると、子ども世代が遺産相続をすることになり、その相続内容を亡くなってから10カ月以内に決めて提出しないといけません。
しかし遺産の全容がわからないと、それもできなくなってしまい、税務署にお金を余分に払わないといけなくなります。
こんな事態にならないためにも、親は子どもたちに資産のすべてを公開して、何かあったときに代理で支払いなどをしてもらう手はずをつけなくてはなりません。
子どもも、それを確認しておく必要があります。
ところが、親としても元気なうちは、子どもたちに資産についてあまり言いたくないのが普通のようです。
年金で生活できているかどうかのチェックをする
子ども世代だって、親や周囲に自分の家計事情は言いたくありませんよね。親の気持ちもわかります。
ただ、いつの間にか親にお金がなくなっているのも困ります。
そこで、 「親の生活費や年金を確認しよう」では、親御さんが年金などの収入に対して、支出が赤字になっていないかどうかだけは調べましょうとお伝えしました。
支出が収入をうわまわっていると、貯金を切り崩すことになり、下手をすると亡くなる前に預金が底をつくことも考えられます。
後を引き継ぐ子ども世代にも、これぐらいは伝えてもらわないと困ります。
教えてくれない親御さんに対しては、静かに穏やかに、子どもが資産を把握する必然性を伝えましょう。
また、資産の多い方は、銀行もいくつにもわけて預金をし、生命保険や株投資なども行い、自分でも資産の全容がわからなくなっているケースも多いでしょう。
とにかくこれをよい機会にして、資産の把握や整理をしておきたいですね。
下ろせる預金口座、置いておきたい預金口座を分けることも必要
親御さんには資産のノートをつけてもらいましょう。
エンディングノートのようなものには、資産の内訳を書き込めるようになっているので、利用してもいいですが、メモ書きでもかまいません。
どの銀行にだいたいどれぐらいお金が入っているか、書き出してもらいましょう。
この段階では、子どもたちに詳しい金額を言わなくてもいい、ということにしましょう。
ただ、すぐに下ろせる普通預金の口座はどれでいくら程度あるのか、また数年後満期の預金や投資など、すぐに下ろせない(下ろしたくない)ものはどれなのか、その区別だけはつけておくといいでしょう。
いざとなったらすぐに引き出せるお金は100万円ぐらいあると安心です。
長い預金のほかに、さっと引き出せるお金が100万円あるかどうかを、両親にあらかじめ聞いておくといいでしょう。
ぜひ、機嫌や体調のよさそうな日を見計らって聞いてみてください。
株などの投資をしているなら、うまくいっているかどうか
親御さんの世代は、株式をはじめ、さまざまな投資をしている人も多いと思います。
この投資は、お金が増えればいいのですが、簡単に減ってしまうリスクもあります。
株や債券を所有しているなら、今どんな銘柄を持っているのか、それらはどんな状況になっているのか、おおまかでよいので知りたいですね。
「社会情勢でも資産価値は変わるから、投資資金が今どうなっているか、把握したほうがいいね。
銀行や証券会社からのお知らせは来ている?」と聞いてみてください。
あまり興味津々で聞くと、「子どもが自分たちの資産を狙っている…」と感じて口を閉ざしてしまうかもしれません。
あくまで「赤字になっていないか」を聞いているだけ、という言い方をして聞き出せるといいですね。
親が入っている生命保険の種類を知る
生命保険に加入している人は多いと思いますが、一口で生命保険といってもタイプはいろいろです。
亡くなったあとに子どもたちにお金を残すための生命保険、数年預けておくと金利がよく、投資のために加入している生命保険。 個人年金型、介護用などもあります。
子どもたちにお金を残すための生命保険は、そのままにしておいてもよいでしょう。
投資のためのものだとしたら、その内容を把握して、損ばかりしていないかを尋ねてみましょう。
個人年金型は、一定の保険料を払うことで、公的年金のほかに、自分の資金で個人年金として毎年お金を受け取れるものです。
親御さんたちはすでに受け取り始めていると思うので、その大体の金額を教えてもらうと、公的年金と合わせて月々いくらぐらい収入があるのか、わかります。
介護用の民間保険は、最近よく聞かれるようになったものです。
生命保険の商品なので一般の公的な介護保険とは全く違います。
要介護2とか3になった時点でお金がたくさん戻ってくるようになるなど、各保険商品のルールに従って、「いざというときに使える生前資金」ということになります。
所有している不動産の価値を知る
住んでいる自宅の土地や家屋がどのようになっているか、ご存じでしょうか?
親御さんご自身が所有の土地と建物なら問題はありません。
しかし、先祖代々の土地で、他の人の名義も入っているとか、土地を担保にお金を借りているとか、持ち物だと思っていたら実は借地借家だったなど、子ども世代が想像できない事態になっているかもしれません。
住まいがゆらぐと生活もゆらいでしまうので、住んでいる土地と家屋のことは子どもも知っておくべきです。
世間話も含めて聞いてみてください。
また、自宅以外にも土地を持っている、リゾートクラブの利用権を持っているなど、不動産を複数持っていることもあるでしょう。
どんな形で保有しているのか、親御さんに聞いて把握しておきましょう。
借金はないかどうかを聞いてみる
そして、最後に「借金がないか」、これだけはちゃんと聞いておきたいものです。
だれかにお金を借りている、株などをするために預けている金額以上に投資をしているなど、持ち出しのお金がある状態で具合が悪くなってしまえば、子どもたちが後始末をしなければならない事態にも陥ります。
「何かあったら助けたいけれど、あまり高額なお金は工面が難しいから……。
あらかじめ聞いておきたいな」と、静かに言ってみてください。
借金がなければ安心です。
だいたいの資産の全容を知り、子ども世代が腹をくくる
さて、親御さんの資産を把握するイメージはできたでしょうか。
一気に全部把握できるケースは少ないでしょうから、ゆっくり時間をかけて教えてもらいましょう。
全部正確にわからなくても、だいたい把握できればそれでよしとします。
そして、親御さんが心を許してくれたら、「勝手に下ろさない」ことを約束し、必要なら一筆誓約書を書くなどしたうえで、銀行などの口座の暗証番号を教えてもらっておくといいでしょう。
「いざというときに、親御さんを助けるためだ」ということで納得してもらいます。
このような質問を繰り返してメモすることで、なんとなく資産の全容がおおまかにつかめるのではないでしょうか。
もし、あまりにも預金が多岐にわたるなら、「少し解約してまとめるのもあとあとラクかもしれないね」と提案してみてはどうでしょうか。
年齢を重ねたら、お付き合いする銀行は2つか3つで十分です。
クレジットカードも2枚くらいにまとめるといいでしょう。
「うちの親の預金は、ゆうちょ銀行に●●円あるだけ」というのなら、シンプルで楽、それはそれでありがたいですね。
いずれにせよ、親御さんの資産を大切に守り、親御さんが使いたいときに使えるような算段をする。
そのためにも子どもたちは存在するのだということをわかってもらいましょう。
そして、子どもたちは、親の財産を当てにするような人間にはならないように。
親御さんの資産は、亡くなるまではずっと親御さんの資産です。
親御さんを守ると同時に、親御さんのお金を守るという気持ちで、資産を一緒に把握し、整理していきましょう。
介護が気になったら活用したい便利なサービス
「介護」が身近にせまってきたとしても、多くの高齢の方は
「今までの暮らしを変えたくない。家族に迷惑をかけず自分も気を使わず、なるべく自宅で生活したい」と考えています。
できるだけ長くその思いを叶えられるよう、そして安全に暮らしてもらえるよう、以下のような便利なサービスも活用してはいかがでしょうか。
<見守りサービス>
見守りサービスは、離れた場所から様子を見守り、何かあればすぐに対処できるようにするサービス。
見守り方や、その後の対応はサービスによってさまざまです。
カメラを設置してリアルタイムで映像を写すものがあったり、不審な動きあったらメールでお知らせしたり。様子を見るために、実際に人が駆け付けるものもあります。
以下は代表的なサービス例ですが、目的に合うものがあれば検討してみてはいかがでしょうか。
みまもりCUBE (株式会社ラムロック)
実家の様子をスマホで確認。SIMカード内蔵で、コンセントにさすだけですぐに使える
設置場所のコンセントにさすだけで設置完了。部屋の様子を映像でリアルタイム配信します。
スマホやPCからいつでも映像を確認でき、何人でも、どこらでも閲覧可能。
映像を見ながら、簡易的に双方向で会話をすることもできます。
「家にいるかな?」「食事はとったかな?」「薬は飲んだかな?」「元気がなさそう?」など、ちょっとした心配をすぐに確認できます。
<利用料>
・1年プラン(1年間レンタル+データ容量1GB)
月々4,290円(消費税込)
・短期プラン(1か月レンタル+データ容量1GB)
月々6,490円(消費税込)
*2023年2月21日時点の料金。料金は変わる場合があります。
置くだけ見まもり セーフワン (東急セキュリティ株式会社)
不測の事態に24時間365日警備員が駆けつけ。東京・神奈川の東急沿線に住む方に
カメラタイプではないので、プライバシーを重視する方におすすめ。
部屋に置くだけで、工事は不要。操作もシンプルです。
身体の不調を感じた時、自分でボタンを押すと警備員が駆け付けてくれます。
また、内蔵の安否確認センサーが常に様子を感知。急に動きがなくなった時などにも警備員が駆け付けます。
東京・神奈川の東急線沿線にお住まいの方が利用できるサービスです。
<利用料>
・置くだけプラン 月々3,278円(消費税込)
上記のほかに、初期登録費 5,500円、警備員駆けつけは1回につき5,500円(消費税込)がかかります。
*2023年2月21日時点の料金。料金は変わる場合があります。
<お弁当の定期宅配サービス>
食生活は、健康寿命に直結します。
自分で料理をするのがベストですが、それができなくてもお弁当や総菜を買ったり、外食してきちんと食事をしているならOK。
でも、持病や体の衰えにより外出がしにくくなって、結果的に食事を抜いたり、バランスが著しく偏っているなら要注意です。
自宅に定期的に届けてもらえる、栄養士監修のヘルシー弁当や、持病のある方向けの制限食のお弁当を検討してはいかがでしょうか。
健康うちごはん (メディカルフードサービス株式会社)
糖尿病・腎臓病などで食事制限のある方にも対応する冷凍宅配弁当
冷凍庫で保存できるお弁当は、食べたいときにレンジで温めればOK。手軽で助かります。
こちらはバランスを考えた一般的なお弁当だけでなく、持病のある方向けのお弁当も充実。
糖尿病・腎臓病・心臓病や、高血圧・肥満など、体の状態にあわせたコースが多数用意されています。
お届けは「1日2食・週3日(週6食)」、
「1日2食・週5日(週10食)」、「1日2食・週7日(週14食)」などの6コースから選べます。
<料金例>
・バランス健康食お試しセット(6食セット)*写真上
6食で4,881円(消費税込)
・塩分制限食お試しセット(6食セット)*写真下
6食で5,140円(消費税込)
*2023年3月16日時点の料金。料金は変わる場合があります。
母親・父親の介護予防にプレゼントやメッセージを
親が長く元気に暮らせて健康寿命が延びると、家族が介護をする期間も減ります。
親にとって、子供や孫とのコミュニケーションは大きな楽しみ。
単調になりがちな日々の刺激にもなります。
誕生日や、母の日・父の日にプレゼントを贈ったり、日頃の感謝をまめに言葉にして伝えることは、介護予防の観点からもおすすめです。
Oyaimaでは、さまざまなシーンでのプレゼントの選び方やおすすめ商品もご紹介しています。
親や祖父母を気遣うあなたのその気持ちを、ぜひ、ギフトという目に見える形で届けてみませんか。
若返ったようなイキイキした笑顔が、たくさん見られることを祈っています!