
実家に帰ると、「以前に比べてずいぶん汚れてきたなぁ」と思うかもしれません。
年月を経て家が古くなったこともありますが、どうもそれだけではなさそうです。
では、子ども世代はどう対処したらいいのか。
無理のない片付けや掃除のヒントをお伝えします。
遠距離で暮らしているなら、ぜひ次に帰省するタイミングの参考にしてください。
<目次>
実家が汚れる原因は、ものが増えているわりに掃除が行き届かないから
夫婦ふたり暮らし、あるいはひとり暮らしなのに、実家には物があふれていませんか?
昭和、平成、令和と引き継がれてきたさまざまなものが家に混在しています。
断捨離が苦手な人は、捨てるより買うもののほうが多いので、年月を重ねるごとに、物も積み重なっていきます。
物が多いから掃除しにくく、ほこりをかぶり、また掃除したくなくなる、の繰り返しで部屋が薄汚れてしまい、乱雑になっていきます。
かつては子どもたちが「汚すから」と頻繁に拭き掃除や掃除機かけをしていましたが、子どもがいなくなり、お客さんも減ると、どうしても掃除の意欲は低くなってしまうもの。
腰が痛い、重いものが持てないなどの理由もあって、掃除機がかけにくく、拭き掃除もしにくくなっていることもあるでしょう。
でも、ずっと放っておくとダニがわいたり、ホコリにまみれたりいて、肺疾患を招くこともあります。
また、物が多いとつまずいて転倒することも。
家の中の転倒事故は、意外に多いのです。
整理整頓せねばならないのは明々白々。たぶん、ご本人もそう思っているでしょう。
けれど、そう簡単に実家は片付きません。
よかれと思って「どうせ使わないから捨てよう」と言っても、「いや捨てられない」の押し問答になりがちです。
それを回避するには、ちょっとした言い方が大切なのです。
子どもの主観で掃除や片付けをしない。親の価値観を尊重
「あーあー、こんなくだらないものとっておいて。もう捨てよう捨てよう、持っていたってしょうがない!」
子ども世代はこんな言葉を言ってしまいがちですが、これは大間違いです。
そもそも、実家にあるものは親の保有財産です。
子どもが捨てる、捨てないに主導権を握るのは間違っています。
「こんなくだらないもの」「もう捨てよう」「持っていたってしょうがない」
それはすべて子ども側の主観。
親御さんの主観は
「大事なもの」「捨てられるわけがない」「まだ持ち続ける」
かもしれません。
いずれにせよ、親の価値感はまず尊重しましょう。
だからといって、捨てられないわけではありません。
整理をする必然性を本人が納得して「片付けよう」と言葉に出してもらえるように
家族の思い出が詰まった家に住み続けたい、きれいに保ちたいのは、親子共通の思いです。
でも、今の親御さんには、家をきれいに保つモチベーションがうすれているのでしょう。
「汚い」「片付けろ」などと言われては、ますますモチベーションが下がるか、意固地になって「うるさい、勝手でしょう」と言いたくなるかもしれません。
「みんなで住んでいた家を、いつまでもひとりできれいに保つのは大変だよね。ずっと放っておいて悪かった。大掃除で窓拭きをすることや、エアコンの掃除とか、大変なところは一緒にやるよ」
と言ってみてください。
物を捨てることより、まずは物を捨てない、掃除から持ちかけます。
年を取ると、窓拭きやエアコンの掃除、電気のかさの掃除など高い所の掃除は、とても骨が折れ、危険でもあります。
また目が悪くなると、汚れが残っていても気づきにくくなります。
清掃の専門会社などに頼めば有料でやってくれますが、「家事を何千円も支払って頼むなんて」と気が進まないのは当然です。
訪問介護を受けている場合は、「うちはヘルパーさんが来て掃除をしてくれるから大丈夫」と思っているかもしれません。
けれど、たとえば訪問介護の人に掃除を頼んでも、こうした掃除は「特別な掃除」とみなされ、ヘルパーさんの仕事の範疇外になってしまいます。
暮れの大掃除の時期とは関係なしに、もっと気候がよく、家中開け放しても寒くない時期に、家族みんなで掃除をする日をもうけよう、と提案してみませんか。
主導権を握るのは、あくまで親御さん。
「午前中だけやって、夕方はみんなでご飯を食べようよ」などと、イベント性を高くするのがコツです。
または、「うちの子も一緒にやるって張り切ってるよ」とお孫さんの名前を出せば、すぐにOKかもしれません。
「そうね、やってみましょう」と、声に出してOKしてもらうのが大前提です。
「孫にホコリを吸わせるわけにはいかないわ」と言うのなら、パートナーとお子さんは遊んでいてもらって、親子だけでやるのもOKです。
いずれにしても、声に出せば覚悟もつきますし、引き返せません。
何事もご自分で決めていただくのが一番。
「ここはやってほしい」「ここは今回はやらないで」という要望もできるだけ聞きましょう。
掃除が成功したら片付け。でも「捨てる」の言葉はNG!
掃除を協力してできるようになったら、いよいよ、物の片付けの提案です。
でも、「捨てる」の言葉はとりあえず飲み込んでください。
押し入れや引き出しがいっぱいでものがあふれて閉まらない、というときには、「ちゃんと閉まるようにする?」と聞きましょう。
孫が遊びに来るときのために、「おもちゃを少し入れたいからスペースをあけてもらえるとうれしいなぁ」などと言うのもひとつの手です。
どの親御さんも、孫には弱いものです。
処分するときも、子どもの感覚では「こんなもの、よくとっておくな」と思っても、ちょっと思いとどまり、「親の大事なものを処分するのだ」という思いで望んでください。
では処分の基準をどうするか?
親御さんに任せすぎると、全てが「捨てられないもの」として分類されるかもしれません。
まず、目安となる基準を一緒に決めましょう。
たとえば、
・割れている、欠けている、破れている、ほつれているなど、明らかに問題がある物
・毛玉がたくさんついている、くすんでいるなど、きれいにするのが大変な物
・たくさんあってダブっている物。機能は同じ物
・食器などはセットになっていたのに、1枚、2枚しかない物
・きちんとした良いものだけど、実家では使う機会が全くなさそうな物
「これはどうしようか? こっちで代用できるよね?」と聞いてみてください。
「いや、これをとっておいて向こうを捨てよう」と、親御さんが主体的に考えてくれるようになれば、ラッキーです。
捨てがたい物はフリマへ。遊びの要素を取り入れて
親御さんがどうしても捨てたくないものは、捨てない。
上質なもので、捨てることに気持ちがゆらいでいるなら、
・「写真に撮っておこうか。それで保存しよう」と言ってみる。
・子ども世代がもらってもよいと思うものは、少しだけ持ち帰る。
・使ってくれそうな親戚や友人にあげる
・フリーマーケットや、フリマアプリで出品し、必要な人に使ってもらい、お小遣いを得る
・有効活用してくれる団体に寄付する
フリーマーケットに出すのは手間ですが、「ほんの少しでもお金が得られるなら」「使ってくれる人がいるのがうれしい」となる場合が多いでしょう。
「メルカリ」や「ラクマ」などのフリマアプリでは、シニアの利用がここ数年で何十倍にも増えているそうです。
スマホを持っているなら、やり方を教えて自分でやってもらうか、ちょっと面倒でもやってあげ、遊び気分で楽しんでみてください。
そして売れなければ、「世間的に見ても価値はあんまりないんだね」というあきらめとともに捨てる決意もつくのではないでしょうか。
掃除するのも整理するのも、どこかに遊びの気持ちを残しましょう。
「みんなで掃除してすっきりして楽しかったね!」
「物がなくなってきれいになったこの空間で、さあ、おいしいお茶を飲もう」
など、掃除や片付けを一緒にして楽しかった、という思いを子ども側がアピールすることが、親孝行。
「めんどくさかったー、ほんと気も遣って疲れたよ!」という愚痴は、あったとしても、帰路まで残しておきましょう。
戦中・戦後生まれなど、物が少ない中で工夫してきた親の世代の人生経験は、今の使い捨ての時代の中でとても貴重。
学ぶべきことも多くあります。
子供や孫から見て不要に思えるものを、親がどんな時に、どう使おうと思っているのか、何にリフォームしようと思っているのか、などを聞くのは新鮮な発見にもなります。
そんな会話も楽しみながら、実家をより快適に暮らしやすくしたいですね。
介護が気になったら活用したい便利なサービス
「介護」が身近にせまってきたとしても、多くの高齢の方は
「今までの暮らしを変えたくない。家族に迷惑をかけず自分も気を使わず、なるべく自宅で生活したい」と考えています。
できるだけ長くその思いを叶えられるよう、便利なサービスを活用してはいかがでしょうか。
<見守りサービス>
見守りサービスは、離れた場所から様子を見守り、何かあればすぐに対処できるようにするサービス。
長時間動きがない場合は異常として検知しメールで通知したり、カメラを設置してリアルタイムで映像を写したり。様子を見るために、実際に人が駆け付けてくれるサービスもあります。
クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン (ヤマト運輸株式会社)
使用電球を「ハローライト電球」に交換するだけでできる見守りサービス
トイレや廊下などで毎日使用する電球を、専用の見守り用の電球に変えるだけでOK。
前日9:00〜当日8:59の間に、電球のON/OFFが確認できない場合は異常として検知。
当日朝9:00〜10:00の間に、事前設定した通知先へメールでお知らせします。通知先からの依頼があれば、ヤマト運輸のスタッフが代わりに訪問。
Wi-Fi・工事・コンセントもすべて必要なく、最初にヤマト運輸のスタッフが専用電球の設置を行うだけ。手軽に始められる低額の見守りサービスです。
<利用料>
・月々1,078円(消費税込) 初期費用0円、専用の電球代は無料。
*全国が対象ですが、一部サービス提供不可エリアがあります。
*2023年5月30日時点の料金。料金は変わる場合があります。
みまもりCUBE (株式会社ラムロック)
実家の様子をスマホで確認。SIMカード内蔵で、コンセントにさすだけですぐに使える
親の自宅の居間など、設置したい場所のコンセントにさすだけで設置完了。
部屋の様子を映像でリアルタイム配信します。
家族はスマホやPCからいつでも映像を確認でき、何人でも、どこらでも閲覧可能。
映像を見ながら、簡易的に双方向で会話をすることもできます。
「家にいる?」「食事はとった?」など、ちょっとした心配をすぐ確認できます。
<利用料>
・1年プラン 月々5,940円(消費税込)
*30日間のお試しキャンペーンがあり、期間中は3,190円/月。
*2023年5月30日時点の料金。料金は変わる場合があります。
<毎日の食事を支援するサービス>
食生活は、健康寿命に直結します。
食事を抜いたり、バランスが著しく偏っているなら要注意。
高齢になると、高血圧や糖尿病、腎臓病などの持病を抱える方が増えますが、塩分やカロリーを計算しての調理や食事は大変。
持病のある方向けのミールキットやお弁当なら、調理や食材購入の負担を軽減してくれます。
制限食料理キット (ウェルネスダイニング株式会社)
食材・調味料などがセットになった 制限食を作れるミールキット
フライパンと油があれば、誰でも手軽に15分で調理完了。管理栄養士監修が監修した、制限食の料理キットです。
カット済みの食材と調味料やたれがついているので、簡単レシピを見ながらラクに調理できます。
持病のある方や、料理が不慣れな方でも安心。
冷凍で届き保存できるので、無理に毎日食べる必要もなく、予定に合わせて無駄なく食べられます。
<料金例>
・塩分制限料理キット(1人前7食セット)
7食で5,184円(消費税込)
*2023年5月30日時点の料金。料金は変わる場合があります。
健康うちごはん (メディカルフードサービス株式会社)
ヘルシー弁当、高血圧・糖尿病の方向けの弁当など、充実ラインナップの宅配食
冷凍庫で保存できるお弁当は、食べたいときにレンジで温めればOK。手軽で助かります。
医療介護食専門メーカーが作るヘルシーな宅配食。
バランスのとれた健康的な弁当のほかに、糖尿病・腎臓病・心臓病や、高血圧・肥満など、体の状態にあわせたコースが多数用意されています。
<料金例>
・バランス健康食お試しセット(6食セット)
6食で4,881円(消費税込)
*2023年5月30日時点の料金。料金は変わる場合があります。
<老人ホーム情報>
今後、介護が必要になったらどこで暮らす? 同居する? 介護施設?
…誰もが悩むポイントです。
ですが、選択肢の一つとなる「老人ホームや介護施設」について、どんな場所なのか、いくらかかるのかなど、詳しく知っている方は少ないでしょう。
時間や気持ちの余裕があるうちに、地域にどんな施設があるのかや費用の相場観をつかんでおくと、いざ判断が必要になった時、あせらずに賢い選択ができます。
今の暮らしをいつまで続けられるか冷静に判断するためにも、老人ホーム検索サイトなどで早めに情報収集をしておくといいですね。
●全国の老人ホームを検索できるLIFULL HOME'Sの介護施設情報サイト
母親・父親の介護予防にプレゼントやメッセージを
親が長く元気に暮らせて健康寿命が延びると、家族が介護をする期間も減ります。
そのためには、楽しみや張り合いのある生活が重要です。
親にとって、子供や孫とのコミュニケーションは大きな楽しみ。
単調になりがちな日々の刺激にもなります。
誕生日や、母の日・父の日にプレゼントを贈ったり、日頃の感謝をまめに言葉にして伝えることは、介護予防の観点からもおすすめです。
Oyaimaでは、年配の方向けのプレゼントの選び方やおすすめ商品をご紹介しています。
親や祖父母を気遣うあなたのその気持ちを、ぜひ、ギフトという形で届けてみませんか。